ダブルクエンチャープローブとシングルクエンチャープローブの違い
ダブルクエンチャープローブとは
ほとんどの加水分解プローブ(Dual-Labeledプローブ)は、5’末端と3’末端の間に約20〜30塩基の間隔をあけて、蛍光色素と1つのクエンチャーが修飾されています。蛍光色素とクエンチャーとの間の相互作用のレベルは、プローブの長さによって決まります。
IDT ZEN™PrimeTime®プローブには、従来品と同様5′末端に蛍光修飾と3′末端にクエンチャーが含まれていますが、プローブの5′末端から9番目と10番目の塩基の間に、さらにもう1つZEN™クエンチャーを組み込んでいます。このZEN™が入ることで蛍光色素からの距離が短くなり、プローブのバックグラウンドが減少し、シグナル検出の感度が高くなります。
IDT ZEN™PrimeTime®プローブには、従来品と同様5′末端に蛍光修飾と3′末端にクエンチャーが含まれていますが、プローブの5′末端から9番目と10番目の塩基の間に、さらにもう1つZEN™クエンチャーを組み込んでいます。このZEN™が入ることで蛍光色素からの距離が短くなり、プローブのバックグラウンドが減少し、シグナル検出の感度が高くなります。
ダブルクエンチャープローブはバックグラウンドが顕著に減少します
ニュージーランドに拠点を置く核酸分離キットのメーカーZyGEM社[1]は、qPCRアッセイにおいて、IDT のZENダブルクエンチャープローブと従来のシングルクエンチャープローブの性能を比較する研究を行いました。プライマーとプローブの配列は同じで、使用するクエンチャーのみを変えて実験を行いました。
全てのプローブは、5′末端にFAM™色素(Applied Biosystems)が修飾されています。3′末端のクエンチャーは、TAMRA™クエンチャー(Applied Biosystems)、ブラックホールクエンチャー™ (BHQ™、Biosearch Technologies)、そしてInternalにZEN クエンチャーと3′末端にIowaBlack™蛍光クエンチャー(IBFQ)を修飾した場合で比較を行いました。
図1は、ヒトBRCA1遺伝子のqPCRの結果です。2種類のシングルクエンチャーのプローブと比較して、ZENが挿入されたダブルクエンチャープローブのバックグラウンドが有意に少ないことを示しています。
図1:ZEN™ダブルクエンチャープローブは、優れたS/N比を実現します。
ヒトDNA(5ng)をTemplateに、Quanta Accustart ™Taq PCR Supermixで、フォワードプライマーとリバースプライマー(それぞれ0.2μM)、3種類のプローブ(本文参照)を用いて増幅しました。プローブ濃度は、0.1μMで最適な結果が得られました。ZENダブルクエンチャープローブは、TAMRAまたはBHQ™のシングルクエンチャープローブと比べて、バックグラウンドの蛍光およびバックグラウンドシグナルのいずれにおいても優れていることが示されました。(David Saul [ZyGEM]提供)
全てのプローブは、5′末端にFAM™色素(Applied Biosystems)が修飾されています。3′末端のクエンチャーは、TAMRA™クエンチャー(Applied Biosystems)、ブラックホールクエンチャー™ (BHQ™、Biosearch Technologies)、そしてInternalにZEN クエンチャーと3′末端にIowaBlack™蛍光クエンチャー(IBFQ)を修飾した場合で比較を行いました。
図1は、ヒトBRCA1遺伝子のqPCRの結果です。2種類のシングルクエンチャーのプローブと比較して、ZENが挿入されたダブルクエンチャープローブのバックグラウンドが有意に少ないことを示しています。
図1:ZEN™ダブルクエンチャープローブは、優れたS/N比を実現します。
ヒトDNA(5ng)をTemplateに、Quanta Accustart ™Taq PCR Supermixで、フォワードプライマーとリバースプライマー(それぞれ0.2μM)、3種類のプローブ(本文参照)を用いて増幅しました。プローブ濃度は、0.1μMで最適な結果が得られました。ZENダブルクエンチャープローブは、TAMRAまたはBHQ™のシングルクエンチャープローブと比べて、バックグラウンドの蛍光およびバックグラウンドシグナルのいずれにおいても優れていることが示されました。(David Saul [ZyGEM]提供)
ダブルクエンチャープローブにすると感度が向上します
さらにZENダブルクエンチャープローブは、従来のシングルクエンチャープローブと比較して低いCq値を示しました。IDTは、ZENプローブの平均Cq値を他の4つのシングルクエンチャープローブと比較する実験を行いました。プローブの配列とレポーターの蛍光色素は全て同じで、クエンチャーのみを変更しています。いずれのテンプレート濃度においても、ZENプローブが、最も低い平均Cq値を示しています(図2)。
図2:ZEN ™ダブルクエンチャープローブは、シングルクエンチャープローブよりも平均のCq値が低い。
5’末端にFAMを標識したプローブに、5種類の異なるクエンチャーを修飾しました。クエンチャーは、ZEN™とIowaBlack™FQのダブルクエンチャー(ZEN / IBFQ)、Black Holeクエンチャー™(BHQ)、Eclipse™(Epoch Biosciences)、Iowa Black FQのみ(IBFQ)、TAMRAの5種類です。
それぞれのクエンチャーで10回、合計で50回のqPCRを行いました。各反応は、ACTB遺伝子座の領域を標的とする同一のプライマーおよびプローブ配列を用いています。TemplateはcDNAを段階希釈し、三連で実験を行いました。標準曲線は、反応あたり5ng のcDNAから10倍希釈段階を用いた5-logの結果です。Applied Biosystems 7900HT Real-Time PCR システムの標準サイクル条件下で、Applied BiosystemsTaqMan™のマスターミックスを用いて反応を行いました。
図2:ZEN ™ダブルクエンチャープローブは、シングルクエンチャープローブよりも平均のCq値が低い。
5’末端にFAMを標識したプローブに、5種類の異なるクエンチャーを修飾しました。クエンチャーは、ZEN™とIowaBlack™FQのダブルクエンチャー(ZEN / IBFQ)、Black Holeクエンチャー™(BHQ)、Eclipse™(Epoch Biosciences)、Iowa Black FQのみ(IBFQ)、TAMRAの5種類です。
それぞれのクエンチャーで10回、合計で50回のqPCRを行いました。各反応は、ACTB遺伝子座の領域を標的とする同一のプライマーおよびプローブ配列を用いています。TemplateはcDNAを段階希釈し、三連で実験を行いました。標準曲線は、反応あたり5ng のcDNAから10倍希釈段階を用いた5-logの結果です。Applied Biosystems 7900HT Real-Time PCR システムの標準サイクル条件下で、Applied BiosystemsTaqMan™のマスターミックスを用いて反応を行いました。
ダブルクエンチャープローブはプローブデザインの幅を広げます
バックグラウンド蛍光を減少させるIDTの ZENプローブは、シグナル検出を大幅に改善します。さらに、レポーター色素とZENクエンチャーの距離が短いため、40塩基の長さのプローブであっても消光状態にしておくことができます。これにより、A / Tリッチなプローブも実用的なTm値を有する配列の設計ができ、設計の柔軟性が高まります。これらの機能により、ZENダブルクエンチャープローブは、既存のアッセイの課題を解決し、新しいプローブデザインを可能にします。
References
1. Tsuei A, Saul D. (2010) Sample normalisation with RNAGEM™ and qPCR using an IDT ZEN PrimeTime probe. ZyGEM (Hamilton, New Zealand), internal report.
2. 原文:Decrease qPCR background, improve qPCR signal
3. 翻訳:安井 孝彰
2. 原文:Decrease qPCR background, improve qPCR signal
3. 翻訳:安井 孝彰
製品フォーカス
PrimeTime®qPCRアッセイ
加水分解プローブを用いたのアッセイは定量的遺伝子発現解析のゴールドスタンダードです。プローブ法、インターカレーター法ともに、ヒト、マウス、ラットに関してはIDTが設計したプレデザインのアッセイ検索を行うことができます。プレデザインはIDT独自のバイオインフォマティクスアルゴリズムを用いて設計し、NCBIの最新の配列情報を参照しています。
PrimeTimeについて、詳しくはこちらをご覧ください。
ダブルクエンチャープローブ
IDTは、ZEN™ダブルクエンチャープローブに加えて、新たにTAO™ダブルクエンチャープローブを提供しています。どちらも、5′末端に蛍光修飾、Internalクエンチャー(ZENまたはTAOクエンチャー)、3′クエンチャーとしてIowa Black(アイオワブラック)を有しています。これらのプローブは、従来のシングルクエンチャープローブと比較して、低いCq値を示し、精度も向上しています。ダブルクエンチャープローブとバックグラウンドについて、詳しくはこちらをご覧ください。
gBlocks® Gene Fragments
gBlocks Gene Fragments 合成サービスは、125-3000 bpの二本鎖DNAを合成する人工遺伝子合成サービスです。gBlocksは、遺伝子の構築や改変のアプリケーションだけでなく、qPCRコントロールおよびスタンダードに使用することもできます。リーズナブルな価格で利用できるgBlocksは、プラスミド形態の人工遺伝子合成サービスと比較して、納期が短いため時間を節約することができます。またgBlocksは弊社QCをパスした高いクオリティを誇っています。gBlocksについて、詳しくはこちらをご覧ください。
Additional Reading
病気を検出や治療の有効性のモニタリングにZENやTAOのダブルクエンチャープローブが実際に役立っている例を紹介します。