合成オリゴのカートリッジ精製が品質低下の原因になる可能性がある
カートリッジ精製ではなく、IDTの脱塩を弊社がお勧めする理由
合成オリゴの品質を向上させるためのカートリッジ精製は、実は品質低下を招くおそれがあります。
弊社が標準的な脱塩精製を行う理由と、弊社の脱塩プロセスがいかにしてPCR、qPCR、DNAシーケンシングアプリケーション用高品質オリゴをもたらすかについてご説明します。2018年9月14日
改訂/更新日 2018年9月14日
弊社が標準的な脱塩精製を行う理由と、弊社の脱塩プロセスがいかにしてPCR、qPCR、DNAシーケンシングアプリケーション用高品質オリゴをもたらすかについてご説明します。2018年9月14日
改訂/更新日 2018年9月14日
オリゴヌクレオチドを精製する理由
オリゴヌクレオチドは、化学反応を用いて一度に1塩基ずつ添加していくことによって工業的に合成されます。しかし、このプロセスは100%の合成効率ではありません。
得られる生成物は、完全長オリゴヌクレオチドと切断されたオリゴヌクレオチドの混合物、そして合成プロセスの残留物である微量の不純物を含んでいます。
そのため、合成したてのオリゴヌクレオチドは精製し、不純物と完全長未満の配列を取り除きます。どのタイプの精製を選択するかは、用途、オリゴ長、どの修飾を付加するか、必要な純度や納品量によって決める必要があります。
得られる生成物は、完全長オリゴヌクレオチドと切断されたオリゴヌクレオチドの混合物、そして合成プロセスの残留物である微量の不純物を含んでいます。
そのため、合成したてのオリゴヌクレオチドは精製し、不純物と完全長未満の配列を取り除きます。どのタイプの精製を選択するかは、用途、オリゴ長、どの修飾を付加するか、必要な純度や納品量によって決める必要があります。
カートリッジ精製とは?
よく用いられている精製方法として、カートリッジ精製があります。カートリッジ精製は、5’末端に疎水性トリチル基をもつオリゴヌクレオチドのキャプチャーにより精製します。
通常、トリチル保護基は、オリゴにヌクレオチドを付加する各サイクルの最終工程として除去されるのですが、カートリッジ精製の場合は、トリチル基は最後のヌクレオチドの上に「クロマトグラフィー用のハンドル」としてそのまま残されます。
カートリッジ精製を行うと、トリチル基が除去されていない完全長のオリゴのみカラムにキャプチャーされ、途中で伸長が止まってしまった不完全なオリゴは洗い流されます。
最後に、カラムに結合した完全長のオリゴヌクレオチドを有機溶媒で溶出し、酸処理によってトリチル基を除去します。
通常、トリチル保護基は、オリゴにヌクレオチドを付加する各サイクルの最終工程として除去されるのですが、カートリッジ精製の場合は、トリチル基は最後のヌクレオチドの上に「クロマトグラフィー用のハンドル」としてそのまま残されます。
カートリッジ精製を行うと、トリチル基が除去されていない完全長のオリゴのみカラムにキャプチャーされ、途中で伸長が止まってしまった不完全なオリゴは洗い流されます。
最後に、カラムに結合した完全長のオリゴヌクレオチドを有機溶媒で溶出し、酸処理によってトリチル基を除去します。
酸処理はオリゴにダメージを与えること可能性がある?
オリゴ合成装置で行われる酸処理は迅速で制御されています。しかし、カートリッジ精製では、酸処理は制御されておらず、オリゴヌクレオチドの一部に損傷を与えることもしばしばです。
酸処理は、酸脱プリン化として知られるプロセスによって鎖の切断を招くことがあります。実は、酸脱プリン化の有害作用はとても深刻で、このようなカートリッジ精製オリゴヌクレオチドの品質は未精製オリゴヌクレオチドに劣ることもあります。
弊社ではこれをカートリッジ精製(cartridge purification)ではなく「カートリッジ粗製(cartridge depurification)」と呼んでいます。 脱プリン化(depurification)は、品質管理をおこなって初めて検出できます。しかし、カートリッジ精製を提供する多くの製造業者は品質管理をおこなっていません。
酸処理は、酸脱プリン化として知られるプロセスによって鎖の切断を招くことがあります。実は、酸脱プリン化の有害作用はとても深刻で、このようなカートリッジ精製オリゴヌクレオチドの品質は未精製オリゴヌクレオチドに劣ることもあります。
弊社ではこれをカートリッジ精製(cartridge purification)ではなく「カートリッジ粗製(cartridge depurification)」と呼んでいます。 脱プリン化(depurification)は、品質管理をおこなって初めて検出できます。しかし、カートリッジ精製を提供する多くの製造業者は品質管理をおこなっていません。
IDTのスタンダード脱塩はカートリッジ精製とどう違う?
弊社はカートリッジ精製を採用していません。その代わり、合成オリゴヌクレオチドから伸長が止まった短いオリゴや低分子量の残留物を除去するため、弊社独自の脱塩技術を用いています。
図1Aに示したように、IDTの脱塩グレードの完全長オリゴの割合は、他の3社が製造供給しているカートリッジ精製オリゴと同等以上です。
また、IDT脱塩オリゴは、「N-1mer」の切断フラグメントの含有量が他の3社が製造供給しているどのカートリッジ精製オリゴよりも低くなっています(図1B)。
図1Aに示したように、IDTの脱塩グレードの完全長オリゴの割合は、他の3社が製造供給しているカートリッジ精製オリゴと同等以上です。
また、IDT脱塩オリゴは、「N-1mer」の切断フラグメントの含有量が他の3社が製造供給しているどのカートリッジ精製オリゴよりも低くなっています(図1B)。
どんなアプリケーションにIDTスタンダード脱塩オリゴは使える?
PCR、qPCR、DNAシーケンシングのアプリケーションに脱塩オリゴはお使い頂けます。弊社独自のオリゴ合成プロセスのカップリング効率は業界最高(IDTプロセスは99.5%、業界標準プロセスは98.5%)です。シンプルな脱塩オリゴがこういったアプリケーションで極めて優れた性能を発揮します。
微量の塩にも敏感な最も要求の厳しいアプリケーション(NMRや結晶解析など)では、透析工程としてオリゴを透析することをお勧めします。
弊社がカートリッジ精製ではなく弊社独自の脱塩精製を行っているのは、カートリッジ精製による悪影響の影響を避けるためです。
微量の塩にも敏感な最も要求の厳しいアプリケーション(NMRや結晶解析など)では、透析工程としてオリゴを透析することをお勧めします。
弊社がカートリッジ精製ではなく弊社独自の脱塩精製を行っているのは、カートリッジ精製による悪影響の影響を避けるためです。
References
原文:Did you know that cartridge purification can damage your oligos?
著者:Bahri Karaçay, PhD, Scientific Writer, IDT.
翻訳:安井 孝彰
著者:Bahri Karaçay, PhD, Scientific Writer, IDT.
翻訳:安井 孝彰
製品フォーカス
プライマー(Custom DNA Oligos)
60塩基まで最小スケールで合成出来るDNAオリゴヌクレオチド合成サービスです。IDTは品質に強いこだわりがあるため、すべての合成DNAに対して品質確認を行っております。
Ultramer
45 ~ 200 塩基まで合成出来る一本鎖DNAです。通常の1本鎖DNA合成よりもさらに純度が高いため、品質が要求されるアプリケーションにオススメです。
また、比較的長い1本鎖DNAを合成できるため、ゲノム編集にもよく使われています。
純度の高さはDNA合成時のカップリング効率に依存します。詳細は、リンク先にてご覧下さい。
RNA合成(Custom RNA Oligos)
IDTのRNA合成サービスです。IDTで合成したRNAでないと、結果がでなかったと感想を頂いたこともあります。RNAに品質を求める場合にぜひお試しください。