Yakima Yellow®:ライセンスフリーのVIC、HEXの代替色素 - 研究から診断応用へ -

VIC色素 ― ほとんどのqPCRプラットフォームでキャリブレーション不要の代替色素
弊社独自のYakima Yellow DyeでqPCRの感度を高めることができます。

このライセンス取得不要の蛍光色素は、ターゲットから放出されてクエンチャーから離れると強い蛍光を発しますので、すぐに検出できます。
2018年5月14日

Yakima Yellowはライセンス不要

Yakima Yellow色素は蛍光色素ファミリーのひとつで、弊社が提供するFreedom Dyesの1種です。

弊社のFreedom Dye プログラムでは、ライセンスフリー・使用料不要の色素を提供しておりますので、Freedom Dyesを用いた修飾オリゴを用いた研究から、診断応用や商用への移行が容易で、追加でライセンスを取得する必要はありません。

VIC®、HEXの代替として

Yakima Yellow色素は、もともとはVIC色素、HEX色素に代わる優れた色素として開発されました。HEXやATTO™532よりもはるかに明るく(図1)、スペクトルもVIC色素との一致度が高くなっています(図2)。

Yakima Yellow色素の励起波長、発光波長はそれぞれ525 nm、549 nmです。つまり、可視スペクトルの黄橙色領域で発光します。

図1. Yakima YellowはHEX、ATTO 532よりも蛍光強度が高い色素です。
490bp gBlocks® Gene FragmentsテンプレートのPCR増幅時にYakima Yellow、ATTO 532、HEXの3色素のいずれかで標識した13nt プローブを用いて蛍光強度を比較しました。
反応は各3回おこないました。

図2. Yakima YellowはHEXよりもVICとのスペクトルの一致性が高い色素です。
TE pH 8.0緩衝液中のHEX、VIC、Yakima Yellowのいずれかの色素で標識されたオリゴヌクレオチドの(A)吸収スペクトル、(B)蛍光発光スペクトル。
最大吸収波長は、HEX=538 nm、VIC=529 nm、Yakima Yellow= 525 nmです。最大発光波長は、HEX=554 nm、VIC=549 nm、Yakima Yellow=549 nmです。
これらの最大波長は、緩衝液のpH、溶媒の存在、色素がオリゴに結合しているか否かといった特定の条件の影響を受けることがあります。
ここでの報告波長は、一般的な生物学的分析で用いられる代表的な条件です。

Yakima Yellow色素はpHの影響を受けません。
従って、pH7とpH9で同じ蛍光を発します。図3にYakima Yellow色素の分子構造を示します。

図3. Yakima Yellow色素の構造

ジェノタイピングアッセイ、qPCRアッセイにおける応用

Yakima Yellow色素の利点は、他の色素との併用が容易で、1回のPCR反応で多種のデータが取得できることです。

たとえば、Yakima Yellow色素をrhAmp™ SNP Genotyping SystemでFAMと対にして用いると、2つの異なるアレルを識別することができます。同様に、Yakima Yellow色素はマルチプレックス遺伝子発現研究で使用することもできます。

その場合は、この色素をひとつのPrimeTime®qPCRプローブで用い、それ以外のプローブで他の同等の色素を用います(詳しくはPrimeTime Multiplex Dye Selection Toolをご覧ください)。



Bio-Rad社やApplied Biosystems社などが提供しているqPCR機器でYakima Yellow色素を用いる場合、通常は追加のキャリブレーションは不要です。

この色素をVIC色素の代わりにqPCRアッセイのワークフローに組み込めば、極めて高感度なデータが取得でき、さらにライセンスフリーの色素である強みを発揮します。

References

原文:A VIC & HEX dye alternative—ultra-bright and license-free
著者:Hana Johannesen, Scientific Writer, IDT.
翻訳:安井 孝彰

ATTO is a trademark of ATTO-TEC. VIC is a registered trademark of Applied Biosystems. Yakima Yellow is a registered trademark of ELITech Group.

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