Integrated DNA Technologies Japanese site
HOME > Decoded Online Japan > gBlocks Gene Fragmentsの使い方

gBlocks Gene Fragmentsの使い方 ~再懸濁法、定量法、コピー数計算法~

gBlocks Gene Fragmentsの使い方のヒント
IDTのカスタム合成dsDNAフラグメント(gBlocks)をお使いですか?

gBlocks Gene Fragmentsの再懸濁、定量、コピー数計算の最適な方法について、弊社の研究員からのヒントをお役立てください。

2017年4月25日
gBlocks®Gene Fragmentsは、幅広いアプリケーションで世界中の研究者にお使いいただいています。このフラグメントの扱い方について、しばしばご質問を頂きます。
弊社の合成生物学グループの研究員がお勧めする手法が、その回答となれば幸いです。

gBlocks Gene Fragmentsの再懸濁法

チューブで納品されたgBlocks Gene Fragmentsは乾燥状態ですので再懸濁する必要があります。(プレートをご指定頂いた場合は、10 ng/μLの場合、Nuclease Free Water 25μLの溶液として納品されます)。

乾燥されたdsDNAはプラスチックチューブに付着しますので、後述するステップ4にある50℃でのインキュベーションを強くお勧めします。

再懸濁の推奨手順は次のとおりです。
  • チューブを開ける前に、マイクロ遠心分離機で3~5秒間遠心し、DNAがチューブの底にたまるようにします。ペレットは静電気を帯びることがありますので、このステップをスキップすると、チューブから飛び出したり、キャップの中に残ってしまったりして、収率が悪くなることがあります。
  • Molecular Grade Water(分子生物学実験に用いることができる水:Nuclease Free Water等)かIDTEのような緩衝液を加えて、10ng/μLの最終濃度にします。弊社の実験では、tRNAなどのキャリアが存在しない場合、保存濃度が1ng/μLを下回ると、プラスチックチューブへの付着によってDNAの損失がおこることがわかっています。
  • 短時間ボルテックスします。
  • 約50℃で15~20分間インキュベートします。チューブを温めることで、小さなペレットがたとえチューブの側面に付着したとしても、確実に溶媒と接触するようになります。このステップにより、ペレットが全て再懸濁される可能性が高くなります。
  • 短時間ボルテックスして遠心分離します。
  • 最終濃度を確認します(下記を参照)。
核酸の取扱い方についての詳しいアドバイスについては、DECODEDの記事、オリゴヌクレオチドの再懸濁と希釈のヒントをお読みください。

gBlocks Gene Fragmentsの定量法

gBlocks Gene Fragmentsはご注文の鎖長によって、250~1000 ngの量で出荷されます。定量には微量試料用に設計された方法の使用、たとえばNanoDrop™(Thermo Fisher Scientific社)やQubit®(Thermo Fisher Scientific社)などの装置をお使いください。

ただし、こういった測定装置で求めた濃度値を比較すると、各測定装置で採用されている方法によってばらつきが認められることがあります。

次の手順に従って、正確に測定を行ってください。
  • 測定装置用の試料を調製したら、直ちに測定を行います。
  • 各試料の2回繰り返して定量します。
  • Nanodropを用いる場合は、各試料の測定の間に試料再懸濁溶液のみの測定を挟みます。このことにより、水や緩衝液中にA260で吸収する物質がなく、試料の測定値が「試料以外の要因」によって見かけ上、大きくなっているわけではないことを確認できます。

コピー数の計算方法

再懸濁したgBlocks Gene Fragmentを希釈して、µLあたりのコピー数(コピー数/µL)にしたい場合について、解説します。
各gBlocksフラグメントの分子量とfmol/ngの変換率は、フラグメントに付属のSpec Sheetに記載されています(図1)。※Spec Sheetはこちらの方法でも取得できます。

図1. コピー数の計算に必要なSpec Sheetの数値

測定濃度からコピー数を計算する方法

次の式を用いることで、濃度をng/µLからコピー数/µLに簡単に変換できます。

(C) (M) (1×1–15 mol/fmol)(アボガドロ数)=コピー数/µL

ここでCはng /µL単位のgBlocks Gene Fragmentの現濃度、Mは仕様書に記載されている分子量(単位はfmol/ng)です。

例:図1のgBlocks Gene Fragment(M=2.12 fmol/ng)を10 ng/Lに再懸濁。

(10 ng/µL) (2.12 fmol/ng) (1×10–15 mol/fmol) (6.022 x 1023) = 1.28×1010 コピー/µL

このようなgBlocksフラグメントのアプリケーションについて考えたことがおありですか?

gBlocks Gene Fragmentsは、CRISPRによるゲノム編集、抗体研究、コドン最適化、変異誘発、アプタマー発現など、幅広い用途に用いられています。qPCRコントロールにも使用できます

弊社のgBlocks Gene Fragmentsは、研究を加速させるツールとなって、合成生物学をますます容易に、ますます使いやすいものにします。

gBlocks Gene Fragmentsの詳細については、gBlocks® Gene Fragments:人工遺伝子合成受託サービスをご覧ください。

References

原文:Tips for working with gBlocks Gene Fragments
著者:Heather Tyra, MS, Product Support Specialist, IDT
翻訳:安井 孝彰


Featured Articles - gBlocks関連記事

gBlocksのqPCRコントロールとしての利用方法
gBlocksをqPCRのコントロールとして用いる方法と、1本の500bp以下のgBlocksで、複数のコントロールを作成する方法を紹介しています。

コンストラクションのクローニングをより簡単にする方法
gBlocksでクローニングを行えば、時間と費用の節約にもなります。

次世代シーケンスのコントロールとしてのgBlocks
gBlocksをNGSのコントロールとして用いる事もできます。この記事では、次世代シーケンスのコントロールとしてどのようにgBlocksを用いるのか、そのコツを紹介しています。