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Dicer-Substrate Short Interfering RNAs (DsiRNAs) and TriFECTa® Kits

DsiRNAsは27merの2本鎖RNAです。21merのsiRNAsと比べ高いノックダウン効率を誇ります。27mer DsiRNAs はIDTの独自技術です。

27mer DsiRNAは、21mer siRNAと比較して2つの利点があります。1つ目は、27mer DsiRNAはDicerによる切断を受けることで、RISCに取り込まれやすくなります。2つ目は、Dicerがガイド鎖を必ず一定の方向にRISCに取り込ませることです。パッセンジャー鎖が取り込まれることがないため、オフターゲットを防ぐことができ、目的機能を有するsiRNAの割合が高くなるため、結果的にDsiRNAの投与量が少なくてもノックダウンが起こります。

27mer DsiRNAの原理
1. 合成後のDsiRNAはパッセンジャー鎖が25mer(DNA2mer含)、ガイド鎖27merから構成されます。
Dicerは3'末端にオーバーハングのある鎖をガイド鎖と認識します。
2. Dicerにより、21mer siRNAの形に切断されます。このステップを経ることでRISCに認識されやすくなります。
3. DicerはRISCに対し一定の方向でsiRNAを認識させます。

4. 1本鎖化の際に、必ずガイド鎖がRISCに取り込まれます。

5. これらのプロセスを経て成熟したRISCが対象のmRNAを分解します。その結果、細胞内のmRNAの量が減りノックダウンが起こります。

サービスの特徴

■ヒト、マウス、ラットのプレデザインをご用意しています。そのため、簡単にオーダー可能です。
配列も納品時に開示致します。プレデザインのないものはカスタム設計で承ります。

■ノックダウンを保証した製品もございます。(TriFECTa® DsiRNA Kit)

■27mer DsiRNAは、21 merと比較して低濃度でもノックダウンが可能です。(下図)あ


図1. 27mer DsiRNAs(27+0)と21mer siRNAs(21+2)等の比較検討実験
27mer DsiRNAsを「27+0」、21mer siRNAを「21+2」と表記しています。
(A ~ D)一定量のEGFP発現プラスミドと様々な濃度の二本鎖RNA(dsRNAs)をそれぞれHEK293細胞にトランスフェクションしました。その後、EGFP発現レベルを測定しました。トランスフェクションには(A)50nM、(B)200pM、(C)50pMのdsRNAを使用しました。エラーバーは標準偏差を示しています。(D)dsRNAsの濃度とEGFPの発現レベルを示しています。DsiRNAs (27+0) が、最も低濃度でEGFPの発現を抑えていることが分かります。 [Nat Biotechnol, 23(2):222–6.]


■27mer DsiRNAは、低濃度でも機能するため、長期間発現を抑えます。


図2. 経時によるDsiRNAの発現抑制機能の解析結果
27mer DsiRNAsを「27+0」、21mer siRNAを「21+2」と表記しています。
5 nMのDsiRNAもしくはsiRNAをEGFR発現NIH3T3細胞にトランスフェクションし、蛍光レベルを測定しました。siRNAは約4日、DsiRNAは約10日まで発現を抑えました。 [Nat Biotechnol, 23(2):222–6.]


■ポジティブコントロールもご用意しています。


図3. siRNA HPRT S1ポジティブコントロールによるmRNAとタンパク質の発現抑制
HeLa細胞にDsiRNA HPRT S1ポジティブコントロール(10nM)をトランスフェクションし、経時的にその発現レベルを測定しました。 (A)HPRT mRNA量をqRT-PCRで測定しました。 (B)HPRTタンパク質をウェスタンブロットで測定し、βアクチンをコントロールとしました。各トランスフェクションは個別に行っております。 (C)HPRTタンパク質の発現レベルを、トランスフェクション後に経時的に測定しました。 [Nat Methods 3 (2006), DOI:10.1038/NMETH919]


27mer DsiRNAs 製品詳細


27mer DsiRNAs
2本鎖化した 27mer RNAです。空気乾燥品でのお届けとなります。
>精製グレード:Affinity精製
製品名 価格 納期予定
DsiRNA, 2 nmol
\15,200 5~10営業日
DsiRNA, 10 nmol \23,300
24本以上の場合は、プレート納品がお勧めです。こちらも空気乾燥品でのお届けとなります。
>精製グレード:Affinity精製
製品名 価格 納期予定
DsiRNA in plates, 2 nmol
\12,000 5~10営業日
DsiRNA in plates, 10 nmol \18,500


TriFECTa® DsiRNA Kits
TriFECTa® DsiRNA Kitは、RNAi実験をスムーズに開始するためのコントロールキットです。目的遺伝子に対する3種のDsiRNA(2n mol)と、トランスフェクション、ポジティブ、ネガティブコントロール、DsiRNAを溶解するためのNuclease-Free Duplex Bufferが入っています。

また3種のDsiRNA中2種以上が70%以上のノックダウン能を持つことを保証します。そのため、もし2本以上ノックダウンができない場合、下記データを示して頂ければ、2本ないしは3本を追加で無償提供致します。

  1. DsiRNA使用時の濃度が10nMであり、qPCRで効果を測定していること。
  2. 蛍光顕微鏡で、TYE 563 Transfection コントロールが、90%以上の細胞への導入がされていること。
  3. DsiRNA HPRTポジティブコントロールでmRNAが90%以上ノックダウンされていること。

製品名 価格 納期予定
TriFECTa® DsiRNA Kit
\63,500 5~10営業日

キット内容品
  • ・3種のプレデザインされたDsiRNA(対象は1遺伝子)
  • ・TYE 563 Transfection Control DsiRNA, 1 nmol
  • ・HPRT-S1 Positive Control DsiRNA, 1 nmol
  • ・Negative Control DsiRNA, 1 nmol
  • ・Nuclease-Free Duplex Buffer, 2 mL


DsiRNAsとTriFECTa® DsiRNA Kitsの製品比較
DsiRNAs TriFECTa® Kits
内容品
DsiRNAのみ DsiRNA 3本とコントロール3種
保証
- 保証あり
保証内容
- 3種のDsiRNAのうち2種以上が70%以上のノックダウン能を保証しています。
プレデザイン
ヒト・マウス・ラット ヒト・マウス・ラット
カスタム設計
ヒト、マウス、ラット以外の種や、21mer → 27merへのカスタマイズにも対応可能です。 カスタム設計には対応しておりません。
価格
\15,200 (2 nmol/1本) ~ \63,500 (/kit)
納期
5~10営業日 5~10営業日


トランスフェクション効率確認用コントロール -DsiRNAs Transfection efficiency controls-
蛍光ラベルを標識したDsiRNAsです。トランスフェクション効率の最適化にお使い下さい。溶液状態で納品しますのですぐにお使い頂けます。

製品名 価格 カタログ番号 納期予定
Cy®3 Transfection Control DsiRNA, 1 nmol
\15,100 51-01-03-06 5~10営業日
Cy®3 Transfection Control DsiRNA, 5 nmol
\37,600 51-01-03-08
TEX 615 Transfection Control DsiRNA, 1 nmol
\12,500 51-01-20-21
TEX 615 Transfection Control DsiRNA, 5 nmol
\31,300 51-01-20-22
TYE 563 Transfection Control DsiRNA, 1 nmol
\12,500 51-01-20-19
TYE 563 Transfection Control DsiRNA, 5 nmol
\31,300 51-01-20-20


内在性遺伝子のポジティブコントロール -Endogenous gene positive controls-
HPRT遺伝子のノックダウン用DsiRNA ポジティブコントロールと、HPRTに対するqPCR Assayです。

製品名 価格 カタログ番号 納期予定
HPRT-S1 Positive Control DsiRNA, 1 nmol
\9,600 51-01-08-02 5~10営業日
HPRT-S1 Positive Control DsiRNA, 5 nmol
\24,100 51-01-08-03
Human HPRT qPCR Assay, 1 nmol
\4,000 51-01-08-04
Human HPRT qPCR Assay, 5 nmol
\9,600 51-01-08-05
Mouse HPRT qPCR Assay, 1 nmol
\4,000 51-01-13-07
※qPCR Assayはインターナル法用のプライマーセットです。


レポータ遺伝子に対するポジティブコントロール -Reporter gene positive controls-
EGFPとルシフェラーゼ(Firefly,Renilla)に対するDsiRNAのポジティブコントロールです。バリデート済みで、レポーター遺伝子を発現している細胞に対してご使用頂けます。
製品名 価格 カタログ番号 納期予定
EGFP-S1 Positive Control DsiRNA, 1 nmol
\9,600 51-01-05-06 5~10営業日
EGFP-S1 Positive Control DsiRNA, 5 nmol
\24,100 51-01-05-07
FLuc-S1 Positive Control DsiRNA, 5 nmol
\24,100 51-01-12-10
RLuc Positive Control DsiRNA, 1 nmol
\9,600 51-01-08-21
RLuc Positive Control DsiRNA, 5 nmol
\24,100 51-01-08-22


ネガティブコントロール -Universal negative controls-
ヒト、マウス、ラットの転写産物を認識しないNon-Targeting 及びスクランブル化されたDsiRNAです。

製品名 価格 カタログ番号 納期予定
Negative Control DsiRNA, 1 nmol
\9,600 51-01-14-03 5~10営業日
Negative Control DsiRNA, 5 nmol
\24,100 51-01-14-04
Scrambled Negative Control DsiRNA, 1 nmol
\9,600 51-01-19-08
Scrambled Negative Control DsiRNA, 5 nmol
\24,100 51-01-19-09

※ ネガティブコントロールの選択の方法については、Q&Aに詳細を記載していますので、ご参照下さい。

ご注文方法

»ヒト、マウス、ラットのプレデザインに関しては、ウェブサイトからご注文下さい。非常に簡単にご注文頂けます。
» ウェブサイトの使用方法はこちら

21 mer → 27 merへのカスタマイズや、ヒト、マウス、ラット以外の種に対するデザインは、下記までご連絡下さい。
japan-cc@idtdna.com

プロトコール・補助資料



関連製品

ノックダウン効率を測定するためのqPCRプローブ/アッセイです。
»PrimeTime®リアルタイムPCR用プローブ/アッセイ合成サービス

ノックダウンではなく、ノックアウトを行いたい場合はゲノム編集がお勧めです。
» Alt-R® CRISPR-Cas9 System

References

IDTの研究グループがテクニカルレポートを論文化しています。IDT® miRNA Inhibitors とほぼ同様のオリゴヌクレオチド(ただし配列長は22 mer、論文中での記載は"2'OMe, 5'inZEN, 3'ZEN")を使った実験結果を解説しています。オープンアクセス論文です。ぜひご覧ください。

Lennox KA, et al. Improved performance of anti-miRNA oligonucleotides using a novel non-nucleotide modifier. Mol Ther Nucleic Acids. 2, e117 (2013)


論文紹介 (Citations)



Q&A

Q. 21 mer siRNAは販売していないのですか?
A. 引き続き販売を行っていますが、メールオーダーのみの受付になります。
>精製グレード:Affinity精製
製品名 価格 納期予定
21mer siRNA, 2 nmol
\28,100 5~10営業日
21mer siRNA, 10 nmol \41,800
メールオーダーの際は下記まで、配列、配列名、納品量をご連絡下さい。
japan-cc@idtdna.com
※新規登録が終わっていない場合は先に新規登録をお願いします。»新規登録方法はこちら

Q. ネガティブコントロール(NC)はDS NC1とDS ScrambedNegのどちらを選択すれば良いですか。
A. IDTでは2つのNCを提供しています。NCはヒト、マウス、ラットの転写産物を認識しない配列になっています。
DS NC1とスクランブルされた配列であるDS ScrambledNegがあります。
NCとしてはDS NC1を使用することを強く推奨します。DS NC1はバイオインフォマティクス的にスクリーニングされた配列で、ヒト、マウス、ラットに対して活性を持ちません。
DS ScrambleNegは、あるお客様から引き継いだ製品のため、彼らの細胞株で成功した少し古い配列になります。
Q.TriFECTa KitにはプライマーやRT-PCRの試薬を含んでいますか。
A. TriFECTa Kitには遺伝子サイレンシングを定量するためのプライマーやPCR酵素は含みません。
ポジコンであるHPRT-S1のRNAiの機能をモニタリングするためにはヒトやマウスのHPRTのプライマーセットで確認いただくことをお薦めしております。
その他の遺伝子(ヒト、マウス、ラット)については、ポジティブコントロールPrimeTime qPCR AssayでプレデザインされたAssayをご利用ください。その他の種については、カスタムデザインで設計を行います。
Q.DsiRNAはすぐに使用できますか。またトラスフェクション試薬は購入する必要がありますか?
A. DisRNAは二本鎖を形成し、乾燥した状態で納品しています。使用前に再懸濁をしていただくのみで構いません。詳しくはプロトコルをご覧ください。
IDTではトラスフェクション試薬の販売はしておりません。ですが、トラスフェクション試薬を使用していただくことをお薦めしております。
IDTで確認しているトラスフェクション試薬はLipofectamine® RNAiMax (Thermo Fisher Scientific), Oligofectamine™ (Thermo Fisher Scientific), siLentFect™ (Bio-Rad), TransIT-TKO® (Mirus Bio)とカチオン性の脂質トラスフェクション試薬です。
トラスフェクション試薬の選択は細胞によります。
Q.DsiRNAはプレートでオーダーできますか。
A. できます。メールオーダーになるので、お問い合わせください。
Q. DsiRNAでノックダウンの実験をしようと思いますが、どのくらいの濃度を使用すれば良いですか。
A. RNAiやアンチセンスの実験ではノックダウンの実際のレベルはトランスフェクション効率に依存します。
HPRTのようなポジコンでトランスフェクション効率を評価していただくことをお薦めします。また0.1、1、10nMで試験し、最適化されることをお薦めします。
Q. アンチセンスの実験ではどのような修飾が使用されますか。
ヌクレアーゼによる分解から保護するためにPSボンドがアンチセンスオリゴに修飾されています。アンチセンスオリゴの全てのバックボーンにPSボンドを修飾することは可能ですが、Tm値が低くなります。この効果をなくすためにオリゴにキャッピングすることがあります。
完全にPSボンドにする代わりに2-5個のPSボンドを末端に含むようにします。5-Md dCや2'-Ome RNAやC5-プロピンピリミジン修飾がヌクレアーゼの耐性を上げ、さらに結合親和性を高めるために使用されます。
しかし、これらの修飾はクリティカルではありません。まずは修飾無しで実験を始めてみて、安定性を高めたい時に修飾を付加することも良いかと思います。
アンチセンスオリゴの長さは一般的には18-24塩基の長さです。必要な濃度はケースバイケースで組織によっても違います。最初は2uM(10ug/mL)から始めるのをお勧めします。
Q. 細胞への導入はどの方法がベストですか。
A.リポゾームを使用する方法、オリゴにペプチドを付加する方法、エレクトロポレーションなどがあります。細胞によってベストな方法は変わりますので、お客様がご使用の細胞のタイプなどお知らせください。