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マルチプレックスqPCRにおすすめの色素の組み合わせ

マルチプレックスqPCRにおすすめの色素の組み合わせ
バックグラウンドを極力抑え、蛍光シグナルの重なりを避けるマルチプレックスqPCR用色素について、弊社が推奨する選択方法を紹介します。

一般的なqPCR装置でのマルチプレックス反応用として適合する色素をまとめた表と、おすすめのクエンチャーのリストを掲載しました。
マルチプレックスqPCRの実験デザインはシングルPCR反応の場合よりも複雑です。
各ターゲットの検出に用いるプローブには、個々にスペクトルが異なる各ターゲット固有のレポーター色素が含まれている必要があります。

リアルタイム検出システムの励起フィルター・発光フィルターの条件は製造元によって異なるため、実験の最適化ステップの一部として各色素について装置を校正する必要があります。

装置が適切に校正されていることを確認することによって、色素の特異度が向上すると同時に、バックグラウンドと蛍光シグナルの重なりを最小限に抑えることができます。

■ 色素を選ぶ場合には、

  • お使いの装置と互換性のある色素を選択する
    使用する各色素の発光スペクトルをお使いの装置が検出できなければなりません。
    装置の励起波長と検出できる発光波長の情報は製造元から取得できます。
    色素のスペクトル発光波長と励起波長について詳細情報を入手してください。

  • お使いの装置で校正できる色素を選ぶ。
    お使いのリアルタイムPCR装置を、選択した色素セットに対して校正する必要があります(表1)。
    これができない場合は、装置を校正するか別の色素を選ぶ必要があります。
    一部の一般的なリアルタイムPCR装置については、弊社からオンライン色素校正プロトコールを無償提供しています。

  • 発光スペクトルの重なりを避ける。
    適切な励起波長の色素を選び、発光スペクトルの重なりを極力抑えます(表1)。
    全蛍光強度も考慮します。例えばFAMは、微量のコピー転写物の検出用色素として優れた選択肢です。
    これは、この色素の蛍光シグナル強度が高いからです。
    転写物の量が多い場合(ハウスキーピング遺伝子など)は、シグナル強度があまり強くない蛍光色素を用いることができます。

表1. マルチプレックスqPCRにおすすめの色素。
一般的なリアルタイムPCR装置用として予め校正済みの色素の上位5セットを示しています。
一部の装置(Applied Biosystems社製装置のほとんど)についてはHEX色素、JOE色素に対して校正を行う必要があります。IDTはこれ以外の色素もご提供できますが、その場合は、色素を予め校正しておく必要がある場合があります。

消光能の高いプローブを用いると、シグナルのクロストークを最小限に抑えることができます。

消光能の高いダーククエンチャー、特にZEN™ Quencher(表2)のような二次クエンチャーと併用するダブルクエンチャープローブと呼ばれるプローブはバックグラウンドを大幅に抑え、感度の増強、エンドポイントシグナルの増強のみならず、初期Cq値の増大につながります。(「 Decrease qPCR Background, Improve qPCR Signal―qPCRのバックグラウンドの低減とqPCRシグナルの増強」の内のデータをご参照ください)

複数の蛍光色素が同一チューブ内に含まれていると、バックグラウンド蛍光が高くなるため、バックグラウンドを低減できるダブルクエンチャープローブは、マルチプレックス反応を行う際に、特に有用です。

なお、マルチプレックスアッセイでは、「クエンチャータイプ」が同一のものをお使いください(例:全てダーククエンチャーなど)。

表2. マルチプレックスqPCR用プローブにおすすめのクエンチャー。
選択した色素に対するqPCR装置の校正が済んでいることを確認する必要があります。
そうでない場合は、装置の校正を行うか、別の色素を選択してください。
各色素のスペクトル発光波長、励起波長については、一覧はこちら、個別はこちらの構造式をお読みください。


1 NHSエステル
2 TEX™615のスペクトルはROXのスペクトルと重なります。
そのため、ROXパッシブリファレンス色素が必要なプラットフォームや、
ROX色素を高濃度で含有するマスターミックスを用いるプラットフォームではお使いにならないでください。



References

原文:Recommended dye combinations for multiplex qPCR
著者:Ellen Prediger, PhD, Senior Scientific Writer, IDT.
翻訳:安井 孝彰